『岡本太郎・布と遊ぶ』

展示期間:2012年6月27日~2012年10月28日

1951年、岡本太郎は美貌のファッションモデルの左胸に、絵具で真っ赤に染めた自分の手を押しつけた。純白のイヴニングドレスが次々と手形で彩られていく。ドレスという実用物がオブジェとしての芸術になった。岡本芸術がデザインとであった瞬間だった。

テキスタイルに興味をもった太郎は、以来、布と遊ぶようになる。振り袖、帯、ゆかた、スカーフ、ハンカチ、ネクタイ…、はては絨毯や鯉のぼりまで、デザインのフィールドはどんどん広がっていった。

「もう額縁入りの芸術の時代ではない。生活環境そのものが芸術でなければならない。チンマリした固定観念、おていさいから離れて、濃くいろどられた自由なイマジネーション。その喜びをふんだんに生活に取り入れてほしい」

本展では布と遊ぶ太郎をご覧いただこうと思う。
芸術とは額縁に入れてありがたいと拝むようなものではない。なんでもない暮らしの中に息づくべきものだ。そう考えた岡本太郎の芸術観が腑に落ちると思う。

※会期中には第15回岡本太郎現代芸術賞の「岡本敏子賞」を受賞した千葉和成と、「岡本太郎賞」受賞の関口光太郎の新作特別展示も行ないました。