『岡本太郎の言葉』

展示期間:2014年10月1日~2015年2月15日

岡本太郎は生涯にわたっておびただしい数の著作や文章を残した。
太郎ほど言葉に情熱を傾けた芸術家はほかにちょっといないだろう。
伝統、文化、縄文、沖縄、メキシコ、スキー、男女の機微…。

まじめな芸術論から軽妙なエッセイまで、テーマもジャンルもじつに多彩だが、いずれも最後はひとつの命題に行き着く。
〝どう生きるか″だ。

己れをつらぬけ、平気で闘え、自分のスジをまもれ、マイナスに賭けろ…。
太郎は〝どう生きるか″を公言し続けた。むろん理屈や評論ではない。
ひたすら「オレはこうする」と言うだけだ。

太郎のすごいところは、言ったことをすべてそのままやってみせたこと。
自らの信ずる生き方を駆け引きなしで世間にさらし、それをそのまま自分の人生を賭けて実践した。
思ったことは言う。言ったことはやる。愚直なまでの言動一致。
そこがカッコいい。だから説得力がちがう。

いまも太郎の言葉がぼくたちの胸にまっすぐ届くのは、太郎がほんとうのことしか言わなかったからだ。
頭にあるのはものごとの本質、根源、原点だけ。
打算や保険がまぶされていない純度の高さは尋常ではないし、揺るぎない信念には比類のない強度がある。
太郎の言葉にはウソがない。小賢しい計算がない。
無責任な曖昧さがない。だから強い。

そんな太郎の言葉たちに包まれる体験をしてみたい。
そう考えてこの展覧会をつくった。

人間、だれでも、生きている以上はつらぬくべきスジがある。
岡本太郎はそう言った。次はぼくたちの番だ。