岡本太郎記念館とは
1998年5月7日。岡本太郎が42年にわたって住まい、作品をつくりつづけた南青山のアトリエが「岡本太郎記念館」として公開されました。
建築家・坂倉準三の手による旧館はそのままに、隣接する木造2階建ての書斎/彫刻アトリエを新築の展示棟に建て替えて、財団法人の運営する公的なミュージアムになったのです。
太郎没後からわずかに2年。エンジンは、「岡本太郎を次の時代に伝えたい」と願う岡本敏子の情熱でした。
庭
記念館の庭は岡本太郎の美意識を伝える重要なメディアです。一瞥してわかるとおり、観賞用の花もなければデザインもされていません。芭蕉、シダ類、雑草が自然のままに生い茂り、そのなかに彫刻が放り出されているだけ。彫刻と植物が渾然一体となり、作品の眼からは草が生えています。その風情はまるで古代遺跡。「東京のど真ん中にこんな場所があるなんて!」。この庭は若者たちのパワースポットになっているようです。
アトリエ
1954年以降の岡本絵画はすべてここから生まれました。テーブル上の道具、床に飛び散った絵具、棚に押し込まれた描きかけの作品…、すべてが当時のまま。冷凍保存された純度100%の TARO空間が、太郎の息吹を生々しく伝えてくれます。「太郎さんがいまにも階段から降りてきそう」。来館者の心をつかんでいるのは、つくりものではけっして再現できない臨場感のある〝空気〞です。
サロン
応接や打ち合わせに使われていたスペースで、大きな掃き出し窓が庭との一体感・連続感を演出しています。右奥のピンクの造形(メキシコから持ち帰った〝生命の樹〞)以外、部屋にあるものはすべて太郎が自らデザインしたもの。左奥に見えるマネキンも、本人がシリコンに埋まってつくったので、寸分違わず正確。アトリエとは別の意味で、ここも純度100%のTARO空間です。
第1展示室
階段を上がった先にあるのが、3面の壁と35m²の床をもつ第1展示室です。企画展ごとにその都度デザインされる空間はたえず表情を変え、新しい空気感を生み出しています。
第2展示室
1階ホール上空に架けられたブリッジを渡った先にあるのが、3面の壁と22m²の床をもつ細長い第2展示室です。庭に面した大きな窓をもち、ふんだんに自然光を入れることもできます。