『太陽の塔に対峙せよ!』

2015年10月28日〜2016年2月28日

この世界一の大屋根を生かしてやろう。そう思いながら、壮大な水平線構想の模型を見ていると、どうしてもこいつをボカン!と打ち破りたい衝動がむらむら湧きおこる。優雅におさまっている大屋根の平面に、ベラボーなものを対決させる。

太陽の塔は、展示物として美術館を渡り歩く〝フツーの彫刻〟ではありません。
高さ70mの圧倒的存在感、内部に擁する濃密な展示空間、建築と同様の建立プロセスなど、あらゆる点で彫刻の常識から外れていますが、いちばんの違いは〝相手がいた〟ことでしょう。
先にリングに上がっていたのは《大屋根》でした。
岡本太郎がテーマ館の構想を練りはじめたとき、すでに大屋根が万博の主役としてラインナップされていました。空中都市のひな形である大屋根は、万博の思想を体現するモダニズムの極致。太郎はこれを打ち破る「対極」を投げ入れることで、万博を覆う楽観的な未来主義に風穴を開けようとします。
それから半世紀。大屋根に〝対峙するもの〟として構想された太陽の塔は、ひとりでリングに立っています。ならば逆に、いま太陽の塔に対峙する建築・空間があり得るとしたら、それはいったいどのようなものなのか。若い才能に訊いてみたいと思いました。
幸い、実施したアイデアコンペには150点の応募作品が集まり、審査員に五十嵐太郎、椹木野衣、藤本壮介という最高のメンバーを迎えることができました。
本展では入選作をご覧いただくとともに、11月末にこの中から公開審査で最優秀賞を選びます。太陽の塔との真剣勝負、どうぞお楽しみください。